カリウムとは
カリウムは生物にとっては必須の元素の一つであり、人体で8〜9番目に多く含まれるミネラルです。大部分は細胞内に存在し、ニューロンの情報伝達としての役割を果たしています。カリウムの名前はアラビア語で植物の灰を意味する「al -qalyah」に由来しています。
カリウムは主に小腸から吸収され、全身の細胞に運ばれます。
体内に循環する量は腎臓によって管理しており、血中のカリウムを一定(3.6~5.0mEq/L)に保っています。余剰なカリウムについては排出し、血中のカリウムが少なくなった場合は再吸収を行います。
カリウムはナトリウムの関係
カリウムとナトリウムは相互に作用しながら細胞の浸透圧の維持や水分の保持を行います。また、ナトリウムが増え過ぎてしまった場合には体外に排出する働きもあります。日本人は諸外国と比較するとナトリウムの摂取量が多いと言われています。したがってナトリウムを排出する働きを持つカリウムを多量に摂取することは重要になっています。
参考(PDF)
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会」報告書
カリウムの1日の摂取基準量
・18歳以上男性では1日2,500mg
・女性では2,000mg
カリウムが欠乏した場合の症状
体内カリウムが欠乏した場合の主な症状は、脱力感、筋力低下、食欲不振、骨格筋の麻痺などがあります。
カリウムは動物性食品やほぼ全ての食品に含まれている為通常の食事の範囲では欠乏することがほとんどありません。
下痢や激しい嘔吐があった場合や大量に発汗した場合などに欠乏する可能性があります。
また、夏場は食欲不振になりやすく汗によりカリウムが体外に排出させるので食事による摂取が不十分となり得ます。
無理な食事制限などもカリウム不足となるのでダイエット中はカリウムの摂取量に注意しましょう。
カリウムを過剰摂取した場合の症状
カリウムを過剰摂取した場合に発生する症状としては、悪寒、嘔吐、痺れ、知覚過敏、脱力感などがあります。また、血中のカリウムの濃度が上がると不整脈になる可能性があります。
通常の食事の範囲ではカリウムを取りすぎることはほとんどありません。サプリメントなどを併用して大量に摂取しなければ過剰摂取とはなりにくいです。
ただし、腎機能が低下している場合はカリウムを排出する能力が落ちる為、血中の体内のカリウム量が増加しやすくなります。
カリウムの効果
カリウムは体内の余分なナトリウムを排出する効果があるので、「高血圧の予防」、「むくみを解消する効果」が期待できます。また、体内に水分を保持する効果があるので乾燥肌にも効果が期待できます。
高血圧の予防
カリウムは血圧を低下させる代表的な栄養素と言われています。
塩分(塩化ナトリウム)を過剰に摂取すると腎臓は血中の浸透圧を保つ為に血液の水分を増やす為、血圧が上がり高血圧となりやすいです。
塩分はナトリウムを主成分とする為、カリウムの働きにより排出することができるのです。
むくみの予防と解消
むくみは、血管から漏れ出た体液が血管の外の皮下組織に溜まってしまうことを言います。
原因の一つとして塩分の取り過ぎにより血管内の水の量が増えてしまうことにあります。
カリウムにより塩分を体外に排出できるのでむくみの予防と解消をすることができます。
乾燥肌対策
乾燥肌は肌の水分不足により、肌がカサカサして潤いがなくなっている状態です。体内の水分不足が原因の一つである為、美容液や化粧品などの外側からのアプローチだけでなくカリウムによる内側からのアプローチを行うとより効果的です。
カリウムの効果を得られる食品
・コンブやヒジキなどの海藻
・野菜や果物
・サトイモやサツマイモなどのいも類
・大豆やインゲン豆などの豆類
・天然水
など
野菜や果物など植物性の食品から肉や魚などの動物性の食品まで様々な食品に含まれています。昆布やワカメなどの海藻類は特に多くのカリウムを含んでいます。海藻類はカルシウム、ナトリウム、マグネシウムなど他のミネラルも豊富な食品なのでカリウムを摂取したい場合にはオススメです。
生鮮食品には多く含まれていますが、加工するたびに量が少なくなっていきます。加工食品や加熱調理した料理だけでなく、サラダなど生の野菜を使った料理も積極的に食べるようにしましょう。
厚生労働省が日本人はナトリウムの摂取量が多いとの見解を示しているのでナトリウムを排出する為にも意識して摂取することが必要です。
サプリメントで摂取する場合の注意点
サプリメントでも摂取は可能ですが、多くの食品に含まれている為サプリメントを使用すると過剰摂取となりやすいです。塩分を取り過ぎてしまった場合やカリウムが不足しやすいダイエット中に使うぐらいに留めておきましょう。また、他のミネラルを取る為のサプリメントにも微量含まれている場合もあるので他のサプリメントと併用する場合も注意しましょう。