カルシウムの効果について

カルシウムについて

カルシウムは人体に最も多く含まれるミネラルであり、成人男性の場合約1キログラム含まれいています。
主に骨や歯などに存在しており、カルシウムイオンとして血液や筋肉にも存在しています。

カルシウムの一日の摂取量の基準

・18〜29歳の男性:800mg
・30〜49歳の男性:650mg
・50歳以上の男性:700mg
・18歳以上の女性:650mg

日本人は慢性的なカルシウム不足です。日本人が1日に摂取しなければならないカルシウムは800mgですが、平均摂取量は517.3mgとなっています。

カルシウム不足が発生しやすい背景

◆日本ではそもそも設定値が低い
諸外国ではカルシウムの1000mg以上に設定している国も多く、日本の800mgはやや低い値となっています。

◆カルシウムは吸収されにくい
カルシウムは様々な食品に含まれていますが、他のミネラルと比較すると非常に吸収効率が非常に悪いです。最も吸収効率の高い乳製品では50%ですが、海藻類で30%、大豆や野生では20%を下回ります。

カルシウムの吸収

カルシウムは摂取後、小腸で吸収され、カルシウム・マグネシウム・リン・たんぱく質・亜鉛などと共に主に骨や歯の形成に使用されます。また、各細胞や血液中にも運ばれ、細胞の分裂・分化・筋肉収縮・神経興奮の抑制・血液凝固作用の促進など、生命活動に必要な様々な働きに影響しています。

他成分との関係

◆リンとの関係
リンはDNAを形成する要素の一つであり、エネルギー生産などの役割も果たしている非常に重要なミネラルです。しかし過剰摂取するとカルシウムの吸収を阻害してしまうミネラルでもあります。カルシウムとリンの摂取は1:2がベストと言われています。

◆ビタミンDとの関係
ビタミンDは腸からのカルシウム吸収を助ける働きがあります。また、骨を作る働きを促進します。ビタミンDが不足しているとせっかく摂ったカルシウムも吸収されずに排出されてしまいます。ビタミンDは食品の他に日光を浴びることで生成も可能なので、1日10分程度は太陽の光を浴びるようにしましょう。

◆ビタミンKとの関係
骨作りに必要不可欠なビタミンです。骨の形成に必要なオステオカルシンと呼ばれるたんぱく質を活性化させます。また、カルシウムの排出も抑制します。

◆マグネシウムとの関係
筋肉や骨に入るカルシウム量を調整する役割を果たしています。マグネシウムが不足するとカルシウム量のコントロールができなくなる為、骨が弱くなったり高血圧になったりします。

◆イソフラボン
骨からのカルシウム流出を抑える働きがあります。

カルシウムの欠乏

カルシウムが不足すると神経や筋肉の興奮が高まり、筋肉の痙攣やてんかんが起こります。初期の自覚症状としてはまぶたのけいれん、足がつる、もの忘れ、イライラするなどがあります。
また、骨や歯が弱くなり、幼児期の場合には成長を阻害する要因にもなります。
不足状態が長く続いた場合、骨密度の上がりにくくなり、丈夫な骨の形成が難しくなります。
また、カルシウムが不足すると副甲状腺ホルモンが分泌されます。このホルモンの働きにより最低血圧をコントロールする平滑筋の収縮が起こる為、高血圧になりやすくなります。

カルシウムの過剰摂取

カルシウムを過剰摂取した場合は高カルシウム血症、高カルシウム尿症、軟組織の石灰化、泌尿器系結石、前立腺がん、鉄や亜鉛の吸収障害、便秘など様々な障害が起こります。
厚生労働省が決めるカルシウムの上限として1日2,300mgとありますが、カルシウムの吸収効率は非常に悪い為、通常の食事の範囲であれば摂り過ぎることはありません。サプリメントを併用する場合にはこの数値を超えないように注意しましょう。
吸収もされやすく尿などで排出されやすいミネラルである為、目標摂取量より少し多めの1000mgから1500mg程度を目標に摂りましょう。

カルシウムの効果

骨を丈夫な状態で保てる

カルシウムが正常な量を保てていれば骨を溶かしてのカルシウム補充は不要となる為、骨を丈夫な状態で保つ事ができます。

高血圧の予防

カルシウムを摂ることで、最低血圧をコントロールする平滑筋の収縮を抑制できるので高血圧の予防をすることができます。

◆カルシウム不足と高血圧の関係
最高血圧は心臓によってコントロールされていますが、最低血圧血は血管の壁にある平滑筋によってコントロールされています。平滑筋が膨張すると最低血圧は低くなり、逆に縮小した場合は最低血圧が高くなります。平滑筋はカルシウムの吸収と排出によって状態が変わり、カルシウムを吸収した時には平滑筋が収縮し、排出した時には膨張します。

カルシウムが不足すると血液中のカルシウム濃度を一定に保つ為に副甲状腺ホルモンが分泌し、骨からカルシウムを補充しようとします。副甲状腺ホルモンはカルシウムを筋肉に取り込む働きもある為、平滑筋にもカルシウムが取り込まれて平滑筋の収縮が起こり、血圧が上がるのです。

物忘れの防止・記憶力UP

カルシウムをしっかり摂ることで物忘れを減らし、記憶力の向上にも繋がります。

イライラを減らし集中力UP

普段常にイライラいしている、集中力が足りないという方はカルシウムなどのミネラル不足によって起因している可能性があります。カルシウムやマグネシウムなどを積極的に摂取することで集中力UPに繋がります。

カルシウムの効果を得られる食品

牛乳などの乳製品に多く含まれており、吸収率も50%と他の食品と比較した場合、非常に高いです。海藻類などは乳製品には劣りますが、30%程の吸収率です。その他野菜や大豆など様々な食品に含まれていますが、量も少なく吸収率も20%以下と非常に効率が悪いです。

カルシウムは食事から吸収されにくいので積極的に摂る必要があります。また、リンを過剰に摂取してしまうとカルシウムの吸収を阻害するので、リンを多く含むスナック菓子などの食べ過ぎにも注意しましょう。

カルシウムを効果的に摂取する為に

カルシウムはビタミンDやマグネシウムと言った他のミネラルとの関係が非常に深いです。他のミネラルが不足しているとカルシウムを多く摂ったとしてもほとんど活用されずに排出されてしまうこともあります。カルシウム不足を防ぐ為にはカルシウムを意識的に摂取するのはもちろんのこと、他のミネラルについても意識的に摂取するようにしましょう。

カルシウムは毎日継続して摂ることが大切

カルシウム人間の体を構成する中で最も重要なミネラルの一つです。不足した場合、骨が弱くなるだけでなく、物忘れ・イライラ・高血圧など非常に大きな影響があります。
吸収効率も悪く、排出頻度も多い為、サプリメントなども活用しつつ毎日継続して取得することが大切となります。